大和市の大竹眼科による網膜静脈閉塞症・光凝固

網膜中心静脈(分枝)閉塞症とは

網膜中心静脈(分枝)閉塞症とは網膜を養っている静脈が閉塞したために血液の流れが途絶えてしまう病気のことです。循環不全の網膜は腫れてふやけてしまいます。また病的な血管(新生血管)が発生したり硝子体出血を繰り返すことで増殖組織が出現することがあります。循環不全の部分が物を見る中心部(黄斑)をふくむと視力低下がおこることがあります。散瞳眼底検査OCT(光干渉断層計)蛍光眼底検査などにより、必要に応じてレーザー光凝固をおこないます。

レーザー光凝固とは

網膜の循環不全のところを直径0.1から0.2㎜の大きさで凝固していきます。凝固した部分は弱いやけどを負った形となりますが、傷の治る働きでそのまま固まってしまいます。これを凝固斑といいます。網膜の循環不全の部分に数百~2千発程度レーザー光を照射します。凝固斑が適切にはいった網膜は循環不全ながらも酸素などのエネルギー不足が解消され、周囲の血管も強化され出血しにくい網膜へと落ち着きます。この治療は視力回復をねらったものではないことをご理解ください。

治療の実際

診察台に頭を固定し、専用のレンズを眼に装着して行います。網膜に必要な照射数を数日に分けておこないます。レーザー治療中に目をキョロキョロ動かすと、狙ったところにレーザーが照射できずに誤照射の原因となり、治療後に視力が落ちたり、視野が狭くなったり、暗く感じることがありますのでご理解ください。

多少の痛みを伴う場合がありますが、10分から20分程で1回の治療は終わります。網膜全体に行う場合は症状に応じて、日を空けて通常数回程度に分けて行います。また必要に応じてレーザーを追加する場合があります。レーザー直後は暗く感じて見えにくくなることがありますが、通常は15分程で回復します。当日は日常生活に制限はありません。

治療の効果は定期的に眼底検査にて評価します。

合併症について

黄斑浮腫 網膜にあるものをみる中心部(黄斑)がレーザーの影響で腫れることがあります。予防のため必要な照射数を何度かに分けておこないます。レーザーの誤照射 視神経乳頭と黄斑はレーザーを照射できません。

レーザー治療後は治療範囲によっては視力が落ちたり視野が狭くなったり暗く感じることがあります。

また、レーザー治療したにもかかわらず病気の勢いが強いと硝子体出血・緑内障の発生を予防しきれず、追加の手術が必要になったり、失明に至ることもあります。しかし、長期的にはレーザー治療をおこなった方が予後は良いと考えられています。緑内障は、角膜や水晶体を潤している房水の産生と流出のバランスが崩れ、房水が増え過ぎて眼圧が高くなり、視神経乳頭が圧迫され、視野が狭くなったり、失明することもあるおそろしい病気です。
硝子体出血を起こす新生血管は、網膜や硝子体だけでなく、眼球の前方の組織にも伸びてきます。そうした新生血管により、房水の流出口である隅角がくっつき房水が蓄積し、眼圧が上昇するのが血管新生緑内障です。通常の緑内障よりも治療が難しく、失明の危険性が高い緑内障なので、十分注意が必要です。

また、網膜剥離により、網膜が眼底から剥がれて、その部分の視覚が障害されることがあります。
硝子体へと伸びた新生血管は、網膜と硝子体をくっつかせます。そして、無血管野の網膜は通常よりも薄く、もろくなっています。そこに、硝子体の収縮が加わると、網膜が硝子体に引っ張られて、裂孔ができてしまいます。この裂孔から網膜の裏側へ、眼球内部にある水分が流れ込むと網膜剥離が発生し、剥離部分は急速に拡大していきます。剥離した網膜の細胞は、短時間で視細胞としての機能を失うため、網膜をもどす手術をおこなう必要が出てきます。