加齢黄斑(おうはん)変性は、網膜のほぼ中央にある、黄斑というところに異常な老化現象が起こり、視力や視野が低下してくる病気です。黄斑はほかの部分の網膜に比べて視機能が格段によく、物を見る要の部分です。
新聞を読むとき、読み取る文字は常に視野の中央にあり、そこから数文字でも外れたところの文字は、相当読みづらいものです。それだけ黄斑と黄斑以外の視力差は大きいわけで、その分、黄斑は日ごろ最も酷使している部分といえます。
なかでも黄斑の中央、直径約0.2~0.35ミリメートルにあたる中心窩(ちゅうしんか)は、とくに視機能が鋭敏な一点です。視力検査でいう「視力」とは、中心窩の視力のことです。眼底の病気の治療は、この中心窩の機能をどれだけ回復・維持できるかが大きなポイントで。
■加齢黄斑変性の症状
加齢黄斑変性の症状は、視野の中央がよく見えない、ゆがむ、暗く見える、などです。最初は片方の眼に起きて程度も軽いために、患者さん本人は年のせいにして見過ごしていることも少なくありません。しかし、徐々に、病型によっては急速に、視力が低下してしまいます。通常、中央以外の視野は保たれ全く光を失ってしまうことはありませんが、見たいところが見えず読みたい文字が読めないという、とても不便な状態になってしまいます。
欧米では中途失明原因のトップが加齢黄斑変性です。日本でも急速な高齢化や生活様式の変化などのためか、やはりこの病気に伴う視力障害者が急増しています。患者さんのほとんどは60歳以上で、女性より男性に多いという特徴があります。
◎加齢黄斑変性の注意点
加齢黄斑変性は高齢者に多くみられ、加齢黄斑変性の症状を老化現象と考えてしまう人が多くいらっしゃいます。
また、加齢黄斑変性の決定的な治療法は無く、滲出型加齢黄斑変性の治療に用いるルセンティスは、
病気の進行を抑えるものですので症状の早期発見と早めの治療が重要になります。
◎自己チェックのしかた
加齢黄斑変性は早期発見が重要です。
できるだけ早い段階で治療をはじめ、病状の進行を食い止めることがとても大切です。
下記のような「アムスラーチャート」と呼ばれる格子状の表を用いてご確認下さい。
● アムスラーチャートから30cm離れた位置でご確認下さい。
● 片目ずつチェックしてください。
● 老眼鏡をかけた状態でアスラムチャートをチェックしてください。

※上記の加齢黄斑変性の見え方以外にも、中心部分が暗く見えづらい場合や、
部分的に欠けてみえる場合はできるだけ早く医師にご相談下さい。
■萎縮(いしゅく)型と滲出(しんしゅつ)型
加齢黄斑変性には2種類のタイプがあります。
欧米人の方に多くみられる【萎縮型】と日本人に多くみられる【滲出型】の2タイプになります
。
◎【萎縮型】(非滲出型)…黄斑の組織が加齢とともに萎縮してくるもので、加齢黄斑変性の多くはこのタイプです。
進行が遅く、ゆっくりと視力が低下していくのが特徴で、中心窩に萎縮が及ばない限りは視力は良好です。
◎【滲出型】…脈絡膜(みゃくらくまく)から異常な血管(脈絡膜新生血管(しんせいけっかん))が生えてくることによって起こるタイプです。新生血管は破れやすいため、出血したり、血液中の成分がもれ出して黄斑が腫れ、ものを見る細胞の機能が障害されます。病状の進行が速く急激に視力が低下していきます。また、早期から症状が出るのも特徴です。
■加齢黄斑変性の治療
滲出型加齢黄斑変性の治療で最初のポイントは、黄斑変性の原因である新生血管を見つけることができるか、という点です。当院では滲出型の治療にルセンティスを用います。
◎ルセンティスとは?
ルセンティスとは、滲出型の加齢性黄斑変性症に対して視力の改善効果が認められたはじめての治療薬で
脈絡膜新生血管の成長を活発化させる体の中のVEGF(血管内皮増殖因子)という物質の働きを抑える薬です。
ルセンティスによる治療法は、このⅤEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することにより新生血管の増殖や成長を
抑制する治療法です
。
◎ルセンティスによる薬物療法
ルセンティスによる薬物療法は、導入期と維持期で異なります。
【導入期】
月1回ルセンティスを白目の部分から眼の中心の硝子体という場所に向けて注射します。
これを3ヶ月間繰り返します。
【維持期】
維持期は、眼の診察や検査で症状をみながら、必要に応じて注射します。
検査は必要に応じて月1回、視力検査と眼底検査、場合により光干渉断層撮影等を行います。
◎治療のスケジュール
治療開始から2ヵ月後までは月に1度、注射を行ない、3ヵ月後からは定期的に検査を行い必要に応じて注射を行ないます。1年間の治療スケジュールは主治医とよくご相談ください
。
◎治療日前後に行なっていただきたい事
ルセンティスの治療を受ける前の3日間と注射後の3日間は、注射部位への感染を予防ぐため、主治医の指示どおり、
抗菌点眼剤(抗生物質の目薬)をご自身で点眼していただきます。
■今回のアドバイス
視力を維持するためのポイントとしては、
●異常を自分で見つけるように心掛ける(加齢黄斑変性から視力を守るカギは、一にも二にも早期発見です。進行の早い滲出型でも、中心窩に達していない小さな新生血管を早期に発見できれば、効果的な治療が行え視機能の維持・改善の可能性が高くなります。)
●たばこはやめる
●亜鉛と抗酸化ビタミンを多めに摂る
●サングラスなどで日光から目を守る などがあげられます。
「目が悪くなるのは年のせい。少しぐらいはがまんしないと…」、などと考えてはいけません。目が悪くなる原因は様々ですから、「変だな?」と思ったらご相談ください。
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